HCX サービスメッシュ設定手順
Service Mesh は、ペアリング済みの 2 サイト間(例:オンプレミス ↔ クラウド)でワークロード移行やネットワーク延伸を可能にする論理的な設定です。
その前段として Compute Profile と Network Profile を両サイトで準備し、最後に両者を紐づけて Service Mesh を作成する必要があります。
本記事では、HCX(VCF Operations HCX / 旧 VMware HCX) の サービスメッシュ(Service Mesh) を構築するための手順を記載します。
サイトペアリングの記事で紹介した構成を使用しますので HCX4.11 と HCX9.0 間のサービスメッシュを設定します。
Connector [ vCenter / Site A ] ----> [ HCX Manager A ] / [ NSX Manager A ]
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Cloud [ HCX Manager B ] / [ NSX Manager B ] <---- [ vCenter / Site B ]
1. Network Profile の作成(両サイト)
Network Profile
Network Profile は、HCX アプライアンスが利用する IP アドレスプールやゲートウェイ、DNS を定義するプロファイルです。
管理ネットワーク(Management)、vMotion ネットワークなどを用途別に分けて指定します。
Network Profile で設定した IP アドレスが HCX アプライアンス展開時に自動的に IP が割り当てられることになります。
なお、Network Profile は Cloud / Connector 両方のサイトでそれぞれ作成する必要があります。
以下の画像は Cloud 側の HCX9.0 で設定したものになります。
Connector 側も同様に設定します。
- Interconnect → Network Profiles を選択し「CREATE NETWORK PROFILE」をクリックします。
- Network Profile の設定画面が表示されます。
画面下部に「HCX Traffic Type (optional)」がありますがここでどのトラフィックタイプ(ネットワーク)に紐づく設定なのかを選択します。
例えば、HCX の管理用で使用する「Management」ネットワークと vMotion で使用する「vMotion」ネットワークを
分けたい場合はそのそれぞれの Network Profile を作成することになります。
ベストプラクティスとしては用途ごとにネットワークを分けることですが、
今回は検証環境のため一つのネットワークにそれぞれのトラフィックタイプを集約します。
つまり、一つの Network Profile のみ作成します。
主に設定する箇所を以下に記載します。
- vCenter
HCX アプライアンスを配置する vCenter Server を選択します。 - Network
HCX アプライアンスが使用するポートグループを選択します。 - IP Pools
HCX アプライアンスに割り当てる IP アドレスプールを入力します。
必要な IP アドレス数は有効にするトラフィックタイプの数に依ります。
「HOW MANY FREE IP ADDRESSES DO YOU NEED?」をクリックすると必要数を算出する計算ツール画面が表示されます。
こちらを活用して算出した IP アドレス数を元に設定する IP アドレスプールを入力します。
下記画像の場合は最低 5 個の IP アドレスが必要となりますが、拡張性を考慮してある程度余裕を持った IP アドレスプールとすることが望ましいです。
- HCX Traffic Type (optional)
この Network Profile で設定する Traffic Type を選択します。
設定が完了したら「UPDATE」をクリックします。
2. Compute Profile の作成(両サイト)
Compute Profile
Compute Profile は、HCX が どのクラスタ/リソースプール/データストア/ネットワーク を利用できるかを定義するプロファイルです。
これにより、どのリソース上で HCX アプライアンスを展開するか、どのサービスを有効化するか(例:WAN 最適化、モビリティ機能、ネットワーク延伸など)を指定できます。
設定項目の中で前段で作成した Network Profile を設定する箇所があります。
- Interconnect → Compute Profiles を選択し「CREATE COMPUTE PROFILE」をクリックします。
- Compute Profile 名を入力します。
- 使用する予定のあるサービスを選択します。
実際に使用するサービスは後続のサービスメッシュ設定時に選択しますのでここでは使用予定のサービスを選択します。
HCX4.11 と比較すると使用できるサービスが減っていることがわかります。
- サービスを利用するクラスタを選択します。
- HCX アプライアンスをデプロイするデータストア、フォルダーを選択します。
各アプライアンスのリソース予約を設定します。
なお、リソースは 100% 予約がベストプラクティスとなります。
- 「Management」ネットワークで使用する Network Profile を選択します。
「ADVANCED CONFIGURATIONS」よりスタティックルートを設定することも可能です。
- 「Uplink」ネットワークで使用する Network Profile を選択します。
- 「vMotion」ネットワークで使用する Network Profile を選択します。
「ADVANCED CONFIGURATIONS」よりスタティックルートを設定することも可能です。
- 「vSphere Replication 」ネットワークで使用する Network Profile を選択します。
「ADVANCED CONFIGURATIONS」よりスタティックルートを設定することも可能です。
- 「OS Assisted Migration」ネットワークで使用する Network Profile を選択します。
「ADVANCED CONFIGURATIONS」よりスタティックルートを設定することも可能です。
- L2 延伸で使用する「Network Containers」を選択します。
今回は HCX Manager と連携している NSX 上で使用しているオーバーレイトランスポートゾーンを選択します。
「ADVANCED CONFIGURATIONS」より HCX NE アプライアンス数を制限することが可能です。
- 設定した構成情報を確認し「CONTINUE」をクリックします。
- 問題なければ「FINISH」をクリックします。
3. Service Mesh の作成
Service Mesh
HCX 移行、ネットワーク拡張、WAN 最適化、およびディザスタリカバリの各サービスが有効化されると、
HCX はソースサイトに関連付けられた仮想アプライアンスをデプロイし、
対応する「ピア」仮想アプライアンスをターゲットサイトにデプロイします。
Service Mesh 作成により、必要な IX/NE 等のアプライアンスが自動展開されます。
Service Mesh は Connector 側で設定します。
Cloud 側では設定できませんので注意が必要です。
以降の画面は Connector 側である HCX4.11 となります。
サービスメッシュ設定の中で前段で設定した Compute Profiles を指定する箇所があります。
- Interconnect → Service Mesh → CREATE SERVICE MESH をクリックします。
- サービスメッシュを構成する Source Site / Destination Site を選択します。
指定するサイトはサイトペアリング済みである必要があります。
- ソース / リモートサイトの Compute Profile を指定します。
- サービスメッシュで有効にするサービスを選択します。
Compute Profile で設定したサービスは全て有効にする必要はなく、このサービスメッシュ設定から有効 / 無効にすることが可能です。
- ソース / リモートサイトの Uplink で使用する Network Profile を指定します。
- 必要に応じて PMTU を変更します。
- NE アプライアンス数を設定します。
NE の HA を構成する場合は 2 以上に設定する必要があります。 - ソース / リモートサイト間の通信品質に関連するオプション設定を確認します。
- 設定内容を確認します。
- サービスメッシュ名を入力し、問題なければ「CREATE SERVICE MESH」をクリックします。
4. 状態確認
- Service Mesh 作成により、必要な IX/NE 等のアプライアンスが自動展開されます。
- Interconnect → VIEW APPLIANCES で各アプライアンスの展開状況を確認することができます。
- Interconnect → MORE → View Tasks で各アプライアンスの展開状況を確認することができます。
- サービスメッシュを構成すると IX / NE アプライアンスが自動で展開されます。
これは vSphere Client のインベントリから確認することができます。
- IX をデプロイすると「VMware Mobility Platform」というホストが展開されていることがわかります。
これは「Mobility Agent」と呼ばれる HCX コンポーネントのダミーホストです。
HCX の機能である Migration 実行時に使用されるダミーホストとなりますので特段気にする必要はありません。
また、ダミーホストの IP アドレスは IX のアップリンクと一致します。
5. まとめ
本記事では、サービスメッシュのインストール手順 をまとめました。
Migration に必要な IX アプライアンス、L2 延伸に必要な NE アプライアンスのデプロイが完了しましたので、
実際に HCX の主要な機能を使用できる状態になりました。
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